2021年12月21日火曜日

第8回 U6プロジェクト

 U6プロジェクトに参加しました!(オンライン)


【日時】 12月16日(木) 10:00~12:00, 13:00~15:00

【出席者】635名

 2019年にスタートしたU6プロジェクト。「子どものために私たちができることは何か?」をテーマに、今回で8回目を迎えました。


【内容】

午前の部:「りんごの木」代表 柴田愛子先生のお話
午後の部:各地友の会の活動報告、
     自由学園 小泉先生のお話、
     婦人之友社 中野さんのお話


◆午前の部

 柴田先生の著書である『こどものみかた 春夏秋冬』(福音館書店)より、ご自身の経験をお話しくださいました。最初、タイトルを聞いたときは、『味方』なのか『見方』なのか分からなかったのですが、「子どもの味方」になるための、「子どもの見方」という意味が込められているそうです。とても素敵なタイトルですよね。


 先生は、子供が生まれてきた以上、「生まれてきたよかった」と思える人生を生きて欲しいと、「子どもの心に寄り添う保育」をモットーに幼稚園を運営されてみえます。

 最初は、子どもの足しになる大人になりたいと、幼稚園教諭という仕事を選ばれたそうです。しかし、毎日の業務に追われて、一日に思い返すことは自分の反省点ばかり。子どもの成長を見る暇がないことに気づき、数年で辞められました。

 それから、子どもの足しになるためにはどうすればいいのかと、いくつもの研究会に所属され勉強を続けられましたが、どこも「保護者や先生にとってのいい子」の育て方ばかりを議論し、子どもの心に寄り添う研究会ではありませんでした。

 その頃の先生は、子どもを正しく育てることに拘りすぎて、頭で育てることばかりを考え、心で育てることの大切さに気付いていなかったのだそうです。勉強を続ける中、シンプルに子どもの側から見た世界を知り、子どもが何をしたいのかを考えることが重要であると気付かれました。

 そうして、できたのが「りんごの木」です。りんごの木では、子どもたちに振り回されながらも、子どもがやりたいことを見守り、子どもと一緒にやってみたりするそうです。


 あるとき、水道代の請求が何万円も来たことがあったのだとか。子どもが床に水たまりができるほど水道の水で遊んでいたためです。それでも先生は見守り、決して叱らず、子どもたちに相談されたのです。「先生、こんなにたくさん水道代を払うの嫌だな…。」と。そうしたら、子どもたちはそれから水道を出しっぱなしにしなくなり、水を無駄に使っている大人を注意をするようになったそうです。

 私なら、水道で遊んでいる子どもに対して無条件で、「水がもったいない!」と注意するでしょう。公共の場で我が子を叱るときの私たちは、他の子の後ろにいる大人の顔色を見ながら叱っている気がします。まさに、大人にとってのいい子の育て方です。


 泣いている子は、泣いている理由を聞いて欲しいわけではありません。「そうだよね。」と、共感して欲しいのです。だから、大人は子どもの様子をよく見て、言葉ではなく心を寄り添わせることが大切です。苦しいときに、帰ってくる場所になる必要があります。

 しかし、子どもに寄り添うということは、何でも子どもの言う通りになるということではありません。自分の譲れないものを見極め、NOはNOと言える「天からのNO」も必要です。


 3歳くらいまでの子どもは発想や感性が豊かです。寒い冬の朝、車のマフラーから出る湯気を見て「車が怒ってるね。」と言ったり、空が明るいのにまだ出ている月に向かって、「お月さま間違えてるよー。」と言ってみたり。

 そして、反抗期を経て自我が芽生えると、大人の指導がなくても、子どもはその子らしく育っていくものです。「何かが進化すれば、何かが退化する。」のです。

 「省略のない6歳までの育ち」を意識し、保護が必要な6歳までにたっぷりと保護して、子どもの楽しみや発見を奪わない子育てができればと思います。


 子どもは『AKU(あく)』であると言われます。本来子どもとは、A(危ない)、K(汚い)、U(うるさい)ものです。しかし、大人の私たちにとっての理想は、A(安全)、K(きれい)、U(美しい)子どもです。


 最近は、おせっかいな近所のおばちゃんが少なくなってきました。しかし今、『おせっかい』が子育て世帯には必要なのです。友の会は、これを実現させることができる集まりだと思います。ソウル友の会でも何ができるのか考え、子どもたちが生まれてきてよかったと思える世界を作れたらと思いました。


◆午後の部

 後半は、全国の友の会での活動内容をお聞きしました。コロナの中であっても活動を諦めず、オンラインであったり、友の家の庭や公園を利用して活動を続けてみえました。やらない決断は簡単ですが、この活動がなければ出会わなかった親子もいたのだと思うと、なくすことはできない活動であると感じました。


 それから、自由学園の幼児生活団通信グループの教材の説明や、婦人之友社の乳幼児グループの活動内容のお話をお伺いしました。

 自由学園の通信教材の名称は『イポッチ』というそうです。これは、「インナー・ポジティブ・スイッチ」を省略したものです。「知っていると、やったことがある」は全然違います。子どもがワクワクするように、教材を送る際の封筒にこだわったり、教材の軽減、デザインのリニューアルなどの努力を続けてみえました。

 婦人之友社の乳幼児グループは、76年の歴史があり、子どもの健康状態や衛生状態をよくし、子どもを守る目的で始められたそうです。グループでの活動の一つとして、一ヶ月の成長記録を付けてみえるのですが、卒業後希望があればその記録を返却しているそうです。ソウル友の会のメンバーの中にも、乳幼児グループに参加していた方がみえ、その時の記録や発行された「乳幼児だより」を大切に保管してみえました。



 どの活動もとても素晴らしく、友の会全体で子どもたちのために何ができるのかを考えるプロジェクトに参加でき、心温まる時間を過ごすことができました。




【ソウル友の会の活動について】

 残念ながら、今年もクリスマス会を開催することができませんでした。来年こそは、皆が集まれる日が来ることを祈りつつ、今年の活動は残すところ「こひつじ広場」だけとなりました。

 1月から学校が長い冬休みに入る韓国。通常であれば、日本に帰省される方が多く3月まで活動がないのですが、オンラインのいいところはどこにいても繋がれること。長い冬休み、どこかで集まりを持てたらと思います。